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2005年3月22日(火)

■■−今週のことば−■■  知的財産高等裁判所

 特許や著作権を巡る訴訟を専門に扱う国内初の裁判所として、東京高裁内に来月新設。所長に東京高裁部総括判事の篠原勝美氏が就任。訴訟の迅速・適切な解決を目指す。


◆◇◆ 金銭債権の貸倒れ損失の損金算入 ◆◇◆

** 税法上、損金算入できる要件は **

 貸付金や売掛金など金銭債権の貸倒れ損失は、損金算入するための要件が厳格なため、判断に悩む税務処理のひとつです。
 税法上では、損金算入できる事実が発生した場合として、
1.会社更生法等公的な場において債権が切り捨てられた場合、または債務超過状態が相当期間継続し、債務の弁済が受けられないと認められる場合、
2.債務者の資産の状況、支払能力などからみて、貸金等の全額が回収できないことが明らかな場合、
3.取引停止時と最後の弁済期とのうち、もっとも遅い時以後1年以上経過した場合、または同一地域の回収不能の売掛債権が、取立てのための旅費・日当などの費用に満たない場合で、その債務者が支払の督促に応じないとき、
などを例示しています。
 いずれの場合も、支払いの督促などを行った証拠書類を残すことが重要です。

** 最高裁判決を受け国税局で応じる事前照会 **

 国税庁は、昨年12月の最高裁判決を踏まえ、各国税局で事前照会に応じることを明らかにしました。
 判決は、金銭債権の貸倒れ損失の損金算入について、「金銭債権の全額が回収不能であることが客観的に明らかでなければならない。そのことは、債務者の資産状況や支払能力など債務者側の事情だけでなく、債権回収を強行することによって生ずる他の債務者とのあつれきなどによる経営的損失などの債権者側の事情、経済的環境等も踏まえ、社会通念にしたがって総合的に判断されるべき」としています。
 貸倒れ損失の損金算入の可否は難しい問題ですのでご相談下さい。


◆◇◆ 退職金を分割にした場合の税務処理は ◆◇◆

 退職金は、役員と使用人とでは税法上の対応が異なるので、使用人を前提として解説します。
 退職一時金は、未払い分も含めて全額が損金算入となり、退職者は退職所得とされ分離課税となるので税負担が非常に軽くなります。
 退職年金は、定期的に支給されるので、支給した期に損金算入となり、退職者は雑所得に分類され総合課税されるので税負担は重くなります。
 退職一時金の未払い分を定期的に分割支給すると、退職年金とされる危険性があります。しかし、期間や支払回数、不定期・不定額での内容などに具体的な指針がないので、定期的な支給が継続していると解されないよう配慮が必要です。


◆◇◆ 新年度の経営計画や収支予算を作る ◆◇◆

 3月決算企業では、決算内容の概略が判明したことでしょう。経営計画は、トップだけではなく幹部や従業員も参加してもらい、今期の決算状況を踏まえて新事業年度の景気・業界・地域動向予測の分析を行い、それに全員の"夢"を加えて実現可能な計画を策定します。経営計画をもとに具体的な収支予算を組み上げていきます。
 なお、3月決算以外の企業でも事業年度当初に作成した計画が予定どおり推移しているか、修正の必要があるかを確認します。




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