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2006年06月26日(月)

■■−今週のことば−■■ 全員参加でリスクの低減
              確立しよう「安全文化」

 7月1日から始まる安全週間、今年のスローガン。労働災害の減少を図り、安全と健康を最優先する企業文化の確立が重要。

◆◇◆ 円滑な事業承継にガイドラインを活用  ◆◇◆ 

** 十分な事前準備が成功のカギ **

 近年、中小企業経営者の高齢化が進む一方で、後継者が決まっている企業は全体の約4割にとどまり、特に親族内での後継者の確保がますます難しくなっています。そこで中小企業庁は、士業団体や中小企業団体と協力して「事業承継ガイドライン」を作成し、このほど公表しました。
 同ガイドラインは、事業承継問題は経営者にとって遠い将来の話と思われがちなことや、周りの者が言い出しにくいこともあり、事前の取組みが進んでいないと指摘しています。しかし、事業承継は、いつかは訪れる問題であり、事前準備の取組みを行うほど成功する確率も高いとして、十分時間をかけた計画立案と着実な対策の実行を勧めています。

 

** 親族内承継など3つの承継方法を提示 **

 具体的な対策は、まず会社を取り巻く各状況を認識し、関係者との意思疎通を行い、1.親族内承継、2.従業員への承継・外部からの雇い入れ、3.M&Aという3つの承継方法のメリット・デメリットを把握した上で後継者を確定します。次に、後継者と協力して事業承継計画を作成することになります。
 さらに、3つの承継方法ごとに具体的な対策を示しています。例えば、近年比率は低下しているものの、全体の6割を占める親族内で承継する場合の、株式・財産の分配や後継者への生前贈与、遺言の活用、そして5月施行の会社法で発行しやすくなった「種類株式」の活用を提案するなど、問題点・注意点等を法律も含めて説明しています。
 事業承継に取り組む中小企業経営者には有用性の高いガイドラインといえそうです。

 

 

◆◇◆ 役員給与の定期同額は手続き不要だが  ◆◇◆ 

 役員給与を、従来どおり「定期同額」で支給する場合は税務署への手続きは不要ですが、事業年度開始後3ヵ月以内に改定された場合に限られ、それ以降の改定は経営状況の悪化による途中の減額改定を除き、損金に算入されません。
 例えば、6月決算法人であれば、現在80万円の給与を8月の株主総会で100万円に増額し、9月から支給するケースでは全額損金になりますが、7・8月分の差額40万円を9月分に上乗せ支給すればその40万円は損金不算入になります。
 また、増額開始が3ヵ月を過ぎた10月分からとなれば、法律では「定期同額給与」に該当せず全額が損金不算入になるので注意が必要です。

 

◆◇◆ バランスのとれた経営戦略を ◆◇◆

 売上やコストなど様々な問題を解決するための経営戦略は必要ですが、片寄った戦略は別の問題を引き出す結果となることもあります。例えば、売上拡大を押し進めた結果、必要以上にコストがかかり、収支構造が悪化するケースやコスト削減だけに注力し過ぎて、売上が縮小してしまうケースなどがあります。
 経営戦略に取り組む際は、課題に直結した戦略だけではなく、反対側にあるリスクにも目を向け、バランスの取れた戦略が成功のカギとなります。


 


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